再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
散々泣いて、少し落ち着きを取り戻した頃。


「いきなり泣いてごめんなさい」


私はまともに北川さんの顔を見ることが出来ない状態だった。


恥ずかしい……高校生なのに子どもみたいに泣いてしまったよ。


だけど、真っ暗だった気持ちは少しだけ晴れやかなものになった気がした。

ただ、泣きじゃくる私を黙って抱き締めてくれた北川さんは、そっと寄り添ってくれた。


「溜め込まれるよりずっといいよ」

「お陰で楽になれました。もう少し耐えてみます。きっと私に飽きる日が来るでしょう」


なんて言うけど本当は怖くてたまらない。

明日も明後日もずっと手紙が届いたり、私の後をつけたりするなんて、狂ってしまいそうだ。

でも、私に出来ることは、飽きてくれるように祈りながら耐えるだけ。


「笹山さん、耐えるだけだと何も解決しないよ」

「ダメ、ですか?」


私はしょんぼりと項垂れ、がっくりと落胆した。

北川さんの言うことに一理ある。確かにちっとも合理的じゃない。

耐えることなんて、あの担任の言う根性論そのものじゃないか。

でも、ストーカーに打ち勝つ為になにが出来る?



悶々と考えごとをしていた私だけど、北川さんは突然爆弾に相当する言葉を投げかけた。



「考えたんだけど……ストーカーに諦めて貰えるように、付き合う振りをするのはどう?」
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