再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
流石に呼び捨てで呼ぶ度胸は私にはなかった。
「それでいいよ」
北川さん改め、悠くんはそれでも許してくれた。
「顔、熱い……」
私は熱くなった体を冷ますように、グラスを手に取り、冷たいアイスティーを半分飲み干した。
行儀が悪いかな……でも、このままだと溶けて蒸発してしまいそうな気がしたから。
それは文字通りの意味ではなく比喩表現だけど、それくらい名前で呼び合うことは私にとって強い刺激だったの。
「振りでも恥ずかしいけど、心強いよ。悠くんがいなかったら、私……」
“死のうと考えていた”
出そうになった本音を押し込めて、口を噤んだ。
「響が落ち込むところは放っておけないよ」
「悠くんはとても優しいね……でも、好きな人が出来たら解消してもいいからね?」
そういう人が現れたら、自分を優先して欲しい。
その日が来るのは、本当は嫌だけど……。
「そういうことは考えなくていいよ。響はもう少し自分のことを優先してもいい」
「ありがとう……お言葉に甘えて、少しだけ頼らせてね」
こうして、仮の彼氏彼女という形で悠くんとの距離が縮んだ。
この先私は、悠くんへの気持ちが蓋をしても溢れかえるほどどんどん大きくなって、抱えきれなくなってしまうんだ。