再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
当日の朝。

私は学校に行く日と同じ時間帯に目を覚ましてしまった。

前日の夜に服を決めてあるので、準備を全て終えても一時間以上暇になってしまった。

悠くんは九時に私の家までわざわざ来てくれることになっている。

本当は目的地であるショッピングモールで現地集合か、駅前で待ち合わせでもいいと言ったけど。


「どこにストーカーがいるか分からない。一人で行動しちゃだめ」


と言う理由で悠くんは首を縦に振ることはなかった。


部屋にある姿見に映る自分の顔を覗き込む。

無表情だと、目尻が上がった目のせいで冷たい人柄に見えてしまう。


“笹山さんって……だけど、冷たい感じがするよね。うちらを見下しているっぽくない?”
“あなた達と違うのよーって思ってそう”


入学して間もない頃、偶然耳にした陰口が頭を()ぎる。


思い切って微笑んで見たけれど、ぎこちなくて桐谷さんのような愛らしさとは程遠く感じた。



午前九時になり、悠くんが私の家にやって来た。


「悠くん、おはよう」

「おはよう、響」


猛暑に近い暑さだというのに悠くんは、いつだって爽やかだ。

実際の学校生活を見ていないけど、男女問わず人気者のような気がしてならない。

私がストーカーの相談をしなければ、夏休みはお友達と遊べたんだろうな。

私は罪悪感を腹に隠しながら、悠くんとの会話を楽しんでいた。


目的地に着くまで手は繋がれたままだった。


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