再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
ショッピングモール内にあるシネマコンプレックスに到着したけど、始まるまで時間があった。

そこで列に並んで飲み物を買うことにした。


「何飲みたい?」


順番が来て悠くんに尋ねられる。


「オレンジジュース……自分で払えるよ」


私は慌てて自分で払う意思表示をしたけど、悠くんは聞こえていないのか。


「オレンジジュースと烏龍茶ください」


あっという間に二人分の飲み物を購入していた。

急いでお財布から千円札を差し出してみるも、スマートフォンのバーコード決済で瞬く間に会計を終わらせたのだ。


「払わせてごめんね?」


オレンジジュースを受け取る。

申し訳ない思いから私は目を伏せていた。


「響だって俺の誕生日にご馳走してくれたでしょ」

「それとは別だよ」

ただでさえ頼りきりだというのに、これ以上悠くんに甘えてはいけないんだから。


「ごめんね。時代錯誤かもしれないけど、仮でも彼女に払わせる真似はしたくない」

「甘やかしちゃ、だめだよ」


甘やかすのは本当の好きな人にしてあげてよ。

きっぱりと善意を跳ね除けられない私は卑怯者だ。
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