再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
私達が観る映画は全国的に大体的に宣伝しているだけあって、客席が多い大きなスクリーンだった。
チケットも悠くんがすでに用意してくれていて、ストーカー対策にしては至れり尽くせりだと思う。
いくつかの予告編が流れた後、ようやく本編が始まった。
映画は高校生男女の王道的な恋愛ものをテーマにしたものだった。
ヒロインとヒーローは同じ委員会がきっかけでゆっくりと距離を縮めていく。
コメディ要素があって笑えたり。
すれ違いが起きて涙が少し出てしまったり。
感情がコロコロ変わって忙しいものだった。
ヒーロー役の律くんは二十二歳だというのに、ブレザーの制服姿に違和感が見当たらない。
まだ高校生でも通用してしまう。
終盤の真剣な眼差しでヒロインに告白するシーンは、胸がときめいた。
「律くん、格好いいな……」
私はスクリーンに釘付けになりながら、ぽつりと小さな独り言をもらした。
映画が配信されるか、DVDが出たらもう一回見よう……! なんて心に決めた。
映画に夢中だった私は、気付かなかった。
悠くんが私を見つめていたことなんて。