再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
「面白かった……」


エンドロールが終わるまで最後まで堪能することが出来た。

今は買ったパンフレットを手にしながら、余韻に浸っている。


「楽しめたみたいで何よりだよ」


悠くんには本当に感謝だ。

悠くんに誘われなければ一人で観に行く予定だったからね。

ああいう恋愛ものって、男の人は進んで観ないと思うのに、観るのに付き合ってくれるなんて。

付き合ってくれるだけでもありがたいのに、悠くんから誘ってくれたんだよ……っ。


「今度は悠くんが観たいものを観ようね」


例え見たいものが苦手なホラーやグロテスクなものだったとしても、頑張って付き合います!

来る日に備えて、沢山観て耐性を付けてしまおうかな?

その今度が来るといいな……。

 
「ありがとう」


そう呟いた時の悠くんは、綻んだ表情をしていた。


その綺麗な微笑に私は見とれてしまっていた。



ショッピングモール内の飲食店でお昼を食べた後、私と悠くんは服を見て回っていた。

始めはメンズのフロアを見ていたけど一瞬で終わってしまい、今は私の服を見るのに付き添ってくれている。

目に付いたお店で新作を手に取ってみる。

清楚な女の子らしい服が並んでいるけど、こんな可愛い服は私には似合いそうにない。

なるべくシンプルなモノトーンを探して手に取ってみたりしていた。


「響。これはどう?」


悠くんが私に見せた服は、裾が広がったワンピースだった。

パステルカラーの水色はシンプルながらも可愛くて、一目惚れしてしまうほど可愛い。


「こんな可愛い服、私に似合うかな?」


店内に設置されている姿見の前で、不安になりながらワンピースを合わせてみる。


「折角だから試着してみない?」

「その間悠くんを待たせちゃうよ」

「俺のことは気にしないで」


私は悠くんに後押しされて、ワンピースを持ってフィッティングルームへ向かった。
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