再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
この日以来、毎朝途中下車するホームで落ち合って、一緒に電車に乗るようになった。

何気ない話をするだけでも、あたしにとって楽しみのひと時だ。

スマートフォンが欲しいな……。

そうしたら、いつでも連絡が取れるのに。

でも、小学生の内はまだ持たせてくれない。

早く中学生になって、スマートフォンが解禁すればいいな。





北川さんと出会って数日後の放課後。

あたしは幼なじみの由加(ゆか)と文化祭の実行委員になり、中等部と高等部のお姉さま方に混じって会議に参加していた。

百合ヶ丘の文化祭は初等部から高等部の合同で行われる。

実行委員会も集まると大所帯になる。

先輩に囲まれたあたしと由加は緊張していたけど、お姉さま方には良くしてもらっていた。

中でも仲の良かったのは高等部一年生の(たまき)お姉さまだった。

高等部になると内部生が大半を占めるけれど、高等部から入学した環お姉さまは、人懐っこく気さくな性格でクラスの人気者なんだ。



会議を中断して休憩に入ると、高等部のお姉さまが用意してくれたスイーツを皆で味わう。

今日は和栗のモンブランだった。


「由加、これおいしいよ!」

「日曜日にお店に寄ってみる?」

「じゃあ、せっかくだから映画みにいかない?」

「賛成っ」


あたしと由加はモンブランを堪能しながら、休日の予定を話し合っていた。

その時、お姉さま方の会話が耳に入った。


「環ちゃん、放課後全然デート出来てないよねえ。寂しくない?」

「大丈夫だよ。週末会う予定だから」

「どこ行くの?」

「買い物かなあ?」


近くの席に座っていた環お姉さまは同じ学年の子と恋バナで盛り上がっていた。
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