再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません

「環お姉さま、彼氏さんがいたんだね」

「どんな人だろうね? 聞いてみよっかなあ」

「あ、由加……っ」


由加は環お姉さま達の元へ向かった。


「聞こえちゃいましたっ。環お姉さまの彼氏さんはどこの学校の人なんですか?」


先輩だろうが物怖じせず由加は環お姉さまに尋ねていた。

幼稚園の頃からの付き合いがある由加はあたしより小柄だけど、しっかり者で頼りになるお姉さん的な存在だ。

どこだろう……男子校の葵葉(あおば)かな?

女子校なので彼氏は必然と他校の人になる。

事情を知らないあたしと由加は興味津々だった。


「菖蒲高校の人で、私と同級生なの」


環お姉さまは嫌な顔をせず、あたし達に笑顔で教えてくれた。

北川さんと同じ学校なんだ。

あたしはなぜか北川さんの笑顔を思い浮かべていた。


「環ちゃんの彼氏、見たことあるんだけどすごくかっこいい人なんだよ!」

「私にはもったいない人だよ。ダメ元で告白しに行ったんだけど、オッケー貰ったの」


その時を思い出していたのか、頬を染める環お姉さまは恋する乙女そのもの。

年下のあたしから見ても可愛くて、とても綺麗だった。


菖蒲(むこう)の女子も、環ちゃんの美少女顔を見たら敵わないって思ったのかな? 何も言ってこないよね」

「そんなことないって」


環お姉さまはお友達に言葉に照れて必死に否定するようにかぶりを振っていた。

環お姉さまは肩まで伸びたストレートの黒髪がとてもよく似合う美少女だ。

大きめのたれ目が愛くるしい印象を与えるの。

あたしも環お姉さまみたいに少しでも可愛くなりたくて、髪型を真似ているんだ。
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