再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
「この前ね、水ようかん作ったの」

マカロンの次は水ようかんにしてみた。

和菓子も芸術品レベルのものになると難しいけど、多少ある程度のものは作れます!


「すごいね。ようかんって作れるんだ」

「簡単なレシピがあったんだ。悠くんに食べて欲しいけど、今の時期は持ち運びすると傷むよね」


今の暑い時期、生菓子を持ち運ぶのは難しい。

食中毒が怖いから……。


「響の作ったお菓子はとても美味しいから食べてみたいね」

「生菓子は涼しくなってからの方がいいかも」

「それなら今度、家に来て作ってよ」

「お、お家……!?」


悠くんの「家に来て」発言に、私は裏返った声を出してしまった。

男友達すらいない私は、異性の自宅に訪問したことがない。

悠くんは一人暮らしだから、まだご両親に会うことはなさそうだけど……。

そういえば、ストーカー問題の時は私の家にあげたことがあった。

でも、いっぱいいっぱいだったからそれどころじゃなかった……。


「仮だけど、付き合っている訳だし、お互いの家を行き来するのは自然なことだと思うよ」


無理しないで……。

本当は私より好きな子をお家にあげたいんでしょう?


「そうなんだね……悠くんがいいなら今度、作らせて」

「楽しみにしてるよ」


その今度はもう来ないかもしれない。

私が本当の気持ちと、嘘をつき続けていたことを洗いざらい打ち明けたら、私のこと恨むことでしょう。




しばらく取りとめのない話をしていうちに、家出したはずの眠気が私に襲いかかってきた。

悠くんの声はドキドキしてしまうけど、安心感も覚えるの。

私はスマートフォンを耳に当てたまま、いつの間にか眠ってしまった。
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