再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
診察室を出て、待合室のソファーで待つ彼に話しかけた。
「傷は多分消えるそうです。万が一残ったらいい形成外科を紹介してくれると言っていました」
「消えるといいね」
頬にテープで留められているガーゼを一瞥した彼の表情は、不安げに見えた。
気にしなくてもいいのに。
むしろ、助けてくれなかったらもっと酷い状態になっていたかもしれない。
あの女の子は相当私を恨んでいたようだった。
会計を済ませた頃には、待合室は診察待ちの人でいっぱいになっていた。
私と彼は病院を後にすることに。
こっそりと彼の横顔を盗み見る。
私が隣に並ぶことが烏滸がましいほどの綺麗な顔立ちをしている。
不意に何か考え事を始めたのか真剣な顔付きに変わり、胸の中がぎゅっと締め付けられた。
あの頃のように、ううん、それ以上に格好いい。
惜しむらくは、私のことを覚えていないことだ。
私はあの頃より十センチ以上背が伸びているから無理もないと思う。
「あの……」
私は邪魔にならないか不安になりながら、声を掛けた。
私の声に気付き、琥珀色の双眸を私に向ける。また鼓動が高鳴ったけど、平静を装ってみせる。
「見ず知らずなのに助けて頂いてありがとうございました」
「あんなに怖がっていたら放って置けないよ」
「……助かりました」
私は彼を一瞥すると、目を伏せた。