再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
……っ!
私、生きてる……? 心臓、無事だよね?
「そうかな……? ゆ、悠くんこそとても素敵だよ」
甘い微笑と褒め言葉によって心臓がやられ、語彙が尽きてしまった私。
それくらいしか言葉にすることが出来なかった。
笑ってみたけど、ぎこちないなんてなかったよね?
「ありがとう。お世辞でも嬉しいよ」
「お世辞じゃないよ──自覚しているの?」
後半は完全な私の独り言だ。
悠くんは自分の容姿を自覚していないのか、周りの評価に無頓着なのか。
きっと、益々女の子の視線を集めてしまうんだろうな……。
私と悠くんは縁日が行われる神社を目指すべく、手を繋いで駅まで向かった。
電車内は、菖蒲高校の最寄り駅に近づくごとに人口密度は高まっていく。
悠くんと私は並んで吊革を掴んで立っている。
「この前の台風は凄かったね」
「うん、正直怖かったよ。でも、悠くんが電話掛けてくれたから眠れたよ」
「話し中に寝ちゃったよね」
その時を思い出していたのか、悠くんはくすりと笑っていた。
「いつも台風の夜は由加……幼なじみと電話していたんだ。高校違うから予定が合わなくて全然遊べてないなぁ」
私は悠くんに嘘ばかりついている。
電話していたのは本当だ。
でも、それは仲の良かった頃の話で、由加とは絶縁状態になっている。
中学二年の終わり頃、由加は突然嫌がらせにあった。
私はそばにいて由加を支えていたけど、しばらくしてその嫌がらせは私が他の子に指示をして行ったもの……ということになっていた。
勿論、由加に嫌がらせはしていない。
大好きな親友をおとしめる理由が私には全くないから。
クラスメイトも、由加も私がいじめを指示したことを信じた。
潔白を訴え続けたけれど、誰も私の話を聞いてはくれず、由加から絶交された。
「会いたいなぁ」
それでも、私は未だに由加と仲直りしたいと夢を見ている。