再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
「照れてる?」

「だって、可愛いなんて言われ慣れないから……」


家族や柴田さんは言ってくれるけれど、他の人からは言われたことがない。


「縁日の日、響のことを見ている男が何人もいたよ」

「え……嘘でしょう?」


信じられないっ。

多分、悠くんの勘違いだと思います! 女の子からものとは違う意味で同性から一目置かれているんだよ。


「響は綺麗で可愛いから、すぐ他の男に攫われそうで怖くなるよ」


そう言った悠くんは片眉を下げて切なげだった。


「そ、それは絶対ないよ。今まで、悠くん以外の人に相手にされたことなかったし……だから、心配しなくても大丈夫だよ」


そういう心配は無用です! と言わんばかりに私は悠くんに微笑みかけた。

残念ながら異性とは縁がなかった。

環お姉さまと付き合ったと知った日、仮に悠くんを諦めて新しい恋をしようとしても、知り合う機会がなかった。

私は悠くんに拒絶されない限り、離れたりしないよ……?


「私とは逆に、悠くんは放っておく人はいないよね」

「そう?」

「どこにいても女の子の視線を集めてしまうし、性格も優しくて非の打ち所がないもん。私よりずっと綺麗な人や可愛い人が現れたらそっちに行ってしまいそう……」


私の零れた声は自信がなくて弱々しいものだった。



悠くんが浮気をするような人とは思えない。

でも、他の女の子に惹かれて私より好きになった日が来る可能性は否定出来ない。

もしその日が来たら、私は身を引ける?

そんなことが出来なくて、みっともなく泣いてすがりついてしまうかもしれない。
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