再会してからは、初恋の人の溺愛が止まりません
可愛い、可愛すぎる……!

自分でも頬がゆるみ切っているのがわかってしまう。

今度猫カフェに行きたいなぁ。

猫を触って服に毛が付いても、家に入る前にコロコロで取り除けば大丈夫のはず。

帰ったらお父さんに確認してみよう。

私はそんなことを考えつつテレビに映る猫の可愛さに夢中になっていた。




番組が終わった頃には一時間か経っていて、水ようかんが出来上がる頃合になった。


「昨日、よく行くお茶屋さんで煎茶を買ってきたの」


鞄を探り、小さい紙袋を取り出す。

中には茶葉が入っている小さな和柄の丸い缶がある。


「急須はある?」

「あるよ。俺が淹れるね。温かいのと冷たいのどっちがいい?」

「ありがとう。温かい方でお願い出来る?」


悠くんが水ようかんの盛り付けとお茶の用意をしてくれた。

テーブルに置かれていたのは温かい煎茶が入った湯のみと、水ようかんかあるお皿、横には漆塗りの和菓子切りが添えられている。


「いただきます」


私は緊張した面持ちで水ようかんを食べる悠くんを見つめていた。


「どうかな……?」


乾いた喉を潤す為に煎茶を一口飲む。

好きな人に食べてもらうとなると、どうしても緊張してしまう。

美味しいと思ってもらいたいから。


「心配しなくても、すごく美味しいよ」


悠くんは不安げな私の頭に優しく手を置いて撫でた。

よかった……。

「美味しい」の一言に、私はほっと安堵の息をついた。


「お口に合って良かった……」

「響の作ったお菓子はどれも美味しいから、不安にならなくても大丈夫だよ」

「緊張するよ。悠くんには美味しいって思って欲しいもん」


美味しいって言ってくれると、嬉しい。

いつかお菓子だけじゃなくて、ご飯も作りたいなぁ。

料理はまだ自信ないから、これから練習頑張ります!

私は心の中で決意をした。
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