僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***
真咲には、数日前に「今日の午前中に顔を出すから」と連絡を入れておいた。
ややして、おだやかな笑顔の了解スタンプが返ってきたので、いざ出向いたけど留守でした、ってことだけはないと思う。
僕だけでひょっこり顔を覗かせるなら真咲がいなかったとしてもまた来ればいいかって思えるけど、葵咲ちゃんに時間を割いてもらうとなると話は別だ。
そういうのは避けたい。
外出準備のために鏡台前に座る葵咲ちゃんに見惚れていたら、髪をポニーテールに結え終えた彼女がこちらを振り返った。
「理人がお友達を紹介してくれるのって……初めてじゃない?」
束ねた髪、今日はシュシュではなく、藍色のリボンで飾るみたいだ。
黒のゴムを、艶やかなサテンのリボンで器用に隠しながら、葵咲ちゃんが僕を見つめて来る。
言われてみれば確かにそうだ。
自分ではあまり意識したことはなかったけれど、僕は葵咲ちゃんさえいてくれれば他には全く頓着しない。
友人にしたって出会えば話すし、別に狙って疎遠を決め込んでいるわけじゃない。けれど、気が付いたら頭からポンと抜けてしまっているんだ。
真咲には、数日前に「今日の午前中に顔を出すから」と連絡を入れておいた。
ややして、おだやかな笑顔の了解スタンプが返ってきたので、いざ出向いたけど留守でした、ってことだけはないと思う。
僕だけでひょっこり顔を覗かせるなら真咲がいなかったとしてもまた来ればいいかって思えるけど、葵咲ちゃんに時間を割いてもらうとなると話は別だ。
そういうのは避けたい。
外出準備のために鏡台前に座る葵咲ちゃんに見惚れていたら、髪をポニーテールに結え終えた彼女がこちらを振り返った。
「理人がお友達を紹介してくれるのって……初めてじゃない?」
束ねた髪、今日はシュシュではなく、藍色のリボンで飾るみたいだ。
黒のゴムを、艶やかなサテンのリボンで器用に隠しながら、葵咲ちゃんが僕を見つめて来る。
言われてみれば確かにそうだ。
自分ではあまり意識したことはなかったけれど、僕は葵咲ちゃんさえいてくれれば他には全く頓着しない。
友人にしたって出会えば話すし、別に狙って疎遠を決め込んでいるわけじゃない。けれど、気が付いたら頭からポンと抜けてしまっているんだ。