僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
それなのに――。
十九時四十五分。
僕的には結構早く待ち合わせ場所に駆けつけられたと思ったんだけど――。
葵咲ちゃんはすでにそこに来ていて、本館前の街路樹に寄り添うようにして立っていた。
真っ白な膝丈のダッフルコートのフードや袖口、それからポケットについたふわふわのファーが、本館から漏れた灯りに照らされてぼんやりと淡く光って見える。
ブラウンのロングブーツとキャメルのハンドバッグ以外はみんな白で、葵咲ちゃんの艶やかな黒髪がよく映えるコーディネートだな、と思った。
本当もう、何ていうか……無条件に、可愛いっ! っていうか可愛すぎるっ!
いや実際、僕の彼女は何を着てても――何なら着てなくても――凶悪に魅力的なんだけどね。
「葵咲っ!」
走りながら呼び掛けた僕の声に反応して、葵咲ちゃんがこちらを向く。
僕を見つけて嬉しそうに微笑んでくれる顔が本当に愛らしくて、僕の心臓は高鳴りっぱなしだ。
正直な話、葵咲ちゃんとなら何度だって恋に落ちられる自信がある。
駆け寄ってきた葵咲ちゃんを両腕でギュッと抱きしめると、「理人っ、ここ、学校っ!」と心配そうに顔を見上げられた。
僕はそんな葵咲ちゃんが心の底から愛しくて……大好きで堪らなくて、「別に誰に見られたって構わないよ」と彼女を抱く手を緩めてあげられない。
「身体、冷たくなってるじゃないか」
待ち合わせ時間を過ぎているわけじゃないのに、この子は一体いつからあそこに立っていたんだろうね?
ひんやりとした彼女の頬を両手で包み込みながら、僕はそんなことを思う。
「あのね、理人。今日は私、アナタを連れて行きたいところがあるの」
僕の腕の中で小さく身じろぐと、葵咲ちゃんが潤んだ瞳で僕を仰ぎ見た。
十九時四十五分。
僕的には結構早く待ち合わせ場所に駆けつけられたと思ったんだけど――。
葵咲ちゃんはすでにそこに来ていて、本館前の街路樹に寄り添うようにして立っていた。
真っ白な膝丈のダッフルコートのフードや袖口、それからポケットについたふわふわのファーが、本館から漏れた灯りに照らされてぼんやりと淡く光って見える。
ブラウンのロングブーツとキャメルのハンドバッグ以外はみんな白で、葵咲ちゃんの艶やかな黒髪がよく映えるコーディネートだな、と思った。
本当もう、何ていうか……無条件に、可愛いっ! っていうか可愛すぎるっ!
いや実際、僕の彼女は何を着てても――何なら着てなくても――凶悪に魅力的なんだけどね。
「葵咲っ!」
走りながら呼び掛けた僕の声に反応して、葵咲ちゃんがこちらを向く。
僕を見つけて嬉しそうに微笑んでくれる顔が本当に愛らしくて、僕の心臓は高鳴りっぱなしだ。
正直な話、葵咲ちゃんとなら何度だって恋に落ちられる自信がある。
駆け寄ってきた葵咲ちゃんを両腕でギュッと抱きしめると、「理人っ、ここ、学校っ!」と心配そうに顔を見上げられた。
僕はそんな葵咲ちゃんが心の底から愛しくて……大好きで堪らなくて、「別に誰に見られたって構わないよ」と彼女を抱く手を緩めてあげられない。
「身体、冷たくなってるじゃないか」
待ち合わせ時間を過ぎているわけじゃないのに、この子は一体いつからあそこに立っていたんだろうね?
ひんやりとした彼女の頬を両手で包み込みながら、僕はそんなことを思う。
「あのね、理人。今日は私、アナタを連れて行きたいところがあるの」
僕の腕の中で小さく身じろぐと、葵咲ちゃんが潤んだ瞳で僕を仰ぎ見た。