僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
***

「目?」

 今日は眼鏡をかけているからだろうな。

 何となく葵咲(きさき)ちゃんがソワソワして落ち着かない。

 第一に、僕の顔を見て話してくれない。


 ほらね、今だってちらっとこちらを見たものの、すぐに視線を逸らしてしまった。



「うん。僕さ、無理するとすぐ〝麦粒腫(ものもらい)〟が出来てしまうだろ?」


 腫れてこそいないものの、今も目にコロコロとした違和感があって、コンタクトレンズが入れられないんだ。

 それで眼鏡でしのいでいるわけだけど、僕の眼鏡姿に慣れてくれない葵咲ちゃんの距離感が辛い。


「そんなに酷いの?」

「ん? 麦粒腫(これ)は今回それほどでも」

 酷い時はまぶたが腫れてしまうので、それに比べたらまだまだ。


「――? 酷くないのに手術するの?」

 癖になっているから?と続ける葵咲ちゃんに、僕は言葉が足りなかったと反省する。
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