僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
本文
帰宅直後、葵咲が小さなリュックを下ろすなり背中を気にする素振りをした。
足元にまとわりつく黒猫を潰さないよう気を付けながら、玄関先にカバンを下ろした葵咲の様子に、先に廊下に上がっていた理人が怪訝そうな顔をする。
「どうしたの?」
葵咲の方を振り返った理人に甘えるようにセレがその足に擦り付いたけれど、一度葵咲に集中してしまった理人には他のものは目に入らないみたいだ。
セレは不満そうに自分を無視し続ける理人の足元に伸び上がって縋り付き、ニャーと鳴いて理人の気を引こうと頑張ったけれど、健闘虚しく惨敗を喫する。
すごすごとリビングの方へ歩き去っていくセレの後ろ姿を見送りながら、葵咲は内心苦笑した。
足元にまとわりつく黒猫を潰さないよう気を付けながら、玄関先にカバンを下ろした葵咲の様子に、先に廊下に上がっていた理人が怪訝そうな顔をする。
「どうしたの?」
葵咲の方を振り返った理人に甘えるようにセレがその足に擦り付いたけれど、一度葵咲に集中してしまった理人には他のものは目に入らないみたいだ。
セレは不満そうに自分を無視し続ける理人の足元に伸び上がって縋り付き、ニャーと鳴いて理人の気を引こうと頑張ったけれど、健闘虚しく惨敗を喫する。
すごすごとリビングの方へ歩き去っていくセレの後ろ姿を見送りながら、葵咲は内心苦笑した。