僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
「私、触れられるなら〝本物〟の理人の指や唇がいい。自分で触るのも嫌。貴方が私を欲して切なく語りかけてくれる声も、私が貴方を求めて漏らす吐息も……全部全部〝本物〟がいい!」
言いながら、葵咲は心の底から理人に早く帰ってきて欲しい、と希っている自分がいることに気がついた。
『葵咲ちゃん……』
理人が小さく吐息混じりに葵咲の名を呼ぶのへ、葵咲は我慢できないみたいに言葉を重ねる。
「理人……、お願い。一分一秒でも早く帰ってきて? そうして、私を思い切り抱きしめて?」
偽物じゃない貴方の腕で――力強く。
偽物じゃない貴方の声で――甘く優しく私を呼びながら。
丸山葵咲は池本理人に心の底から愛されているのだと実感させて欲しい。
私も、全身全霊でそれに応えるから。
言葉にはしなかったけれど、きっと理人なら葵咲が口にしない――出来ない――言葉だって、ちゃんと汲んでくれるはず。
言いながら、葵咲は心の底から理人に早く帰ってきて欲しい、と希っている自分がいることに気がついた。
『葵咲ちゃん……』
理人が小さく吐息混じりに葵咲の名を呼ぶのへ、葵咲は我慢できないみたいに言葉を重ねる。
「理人……、お願い。一分一秒でも早く帰ってきて? そうして、私を思い切り抱きしめて?」
偽物じゃない貴方の腕で――力強く。
偽物じゃない貴方の声で――甘く優しく私を呼びながら。
丸山葵咲は池本理人に心の底から愛されているのだと実感させて欲しい。
私も、全身全霊でそれに応えるから。
言葉にはしなかったけれど、きっと理人なら葵咲が口にしない――出来ない――言葉だって、ちゃんと汲んでくれるはず。