僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
そう思った私は、「好きな人って……許婚の健二さん?」と聞いたんだけど――。
途端ひおちゃんはしゅんとしたように黙り込んでしまって。
え? ちょっと待って、もしかして違う人?
『一目見た瞬間に恋に落ちしまうこと、物語のなかだけのことだと思っていたんですけど……本当にあるものなんですね。驚きなのですっ。……健二さんには……ちゃんと婚約を破棄していただきたいと申し上げるつもりでいます』
ポツンと力なくつぶやかれた言葉が、私にはすごく意外だった。
何となくだけど……ひおちゃんは敷かれたレールの上を何の疑いもなく歩いていくものだと思っていたから。
「そっか。ひおちゃんがそんな風にしてまで追いかけたい男性、私も興味津々だよ! うまくいったら、絶対、絶対、紹介してねっ! わ、私もっ……その時には今付き合ってる人、紹介するから」
一通り、そんな他愛もない近況報告をしあって電話を切ったのが初夏の頃。
まさかそれから半年も経たないうちに、ひおちゃんから入籍しました、と言われてしまうだなんて、その時の私は思いもしなかったのだ。
途端ひおちゃんはしゅんとしたように黙り込んでしまって。
え? ちょっと待って、もしかして違う人?
『一目見た瞬間に恋に落ちしまうこと、物語のなかだけのことだと思っていたんですけど……本当にあるものなんですね。驚きなのですっ。……健二さんには……ちゃんと婚約を破棄していただきたいと申し上げるつもりでいます』
ポツンと力なくつぶやかれた言葉が、私にはすごく意外だった。
何となくだけど……ひおちゃんは敷かれたレールの上を何の疑いもなく歩いていくものだと思っていたから。
「そっか。ひおちゃんがそんな風にしてまで追いかけたい男性、私も興味津々だよ! うまくいったら、絶対、絶対、紹介してねっ! わ、私もっ……その時には今付き合ってる人、紹介するから」
一通り、そんな他愛もない近況報告をしあって電話を切ったのが初夏の頃。
まさかそれから半年も経たないうちに、ひおちゃんから入籍しました、と言われてしまうだなんて、その時の私は思いもしなかったのだ。