僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
かぐや姫とその従者
空港から葵咲ちゃんの滞在する家までは、カーナビによると車で20分足らず。
そこから僕が葵咲ちゃんと泊まるために手配した、商店街のど真ん中に位置するビジネスホテルまでが10分ちょい。
どちらも思ったより案外近くて、僕はホッと胸を撫で下ろした。
車があれば少々の距離を移動するのぐらいどうってことないと思う反面、それでも昨今の市町村合併で、下手したら市内と一言に言っても物凄く広いんだよねー、と思ったりもしていたから。
この分なら20時になる前に食事に行けそうだ。
そう思ってレンタルしたばかりのヴィッツから葵咲ちゃんに電話をかけたら、葵咲ちゃんに開口一番『ねぇ理人、車から降りて左手後方を見てっ!』って謎の指示を出されてしまった。
っていうか何で今、車ん中だって知ってるの?
思いながら車から降りた僕は――。
「理人っ!」
振り返るより早く葵咲ちゃんに飛びつかれていた。
「きさ、き……?」
この艶々の黒髪。白くて艶かしい首筋からデコルテにかけてのライン。柔らかくて心地よい触り心地。甘く柔らかい、うっとりするような香り。
どう考えても、僕の大好きな葵咲ちゃん以外の何者でもない。ないのだけれど。
えっ? でも……ちょっと待って。何で葵咲ちゃんが空港に?
そう思った僕は、葵咲ちゃんの背後から2つの人影が近づいてくるのを認めて、思わず腕の中の葵咲ちゃんを抱く手に力を込めた。
そこから僕が葵咲ちゃんと泊まるために手配した、商店街のど真ん中に位置するビジネスホテルまでが10分ちょい。
どちらも思ったより案外近くて、僕はホッと胸を撫で下ろした。
車があれば少々の距離を移動するのぐらいどうってことないと思う反面、それでも昨今の市町村合併で、下手したら市内と一言に言っても物凄く広いんだよねー、と思ったりもしていたから。
この分なら20時になる前に食事に行けそうだ。
そう思ってレンタルしたばかりのヴィッツから葵咲ちゃんに電話をかけたら、葵咲ちゃんに開口一番『ねぇ理人、車から降りて左手後方を見てっ!』って謎の指示を出されてしまった。
っていうか何で今、車ん中だって知ってるの?
思いながら車から降りた僕は――。
「理人っ!」
振り返るより早く葵咲ちゃんに飛びつかれていた。
「きさ、き……?」
この艶々の黒髪。白くて艶かしい首筋からデコルテにかけてのライン。柔らかくて心地よい触り心地。甘く柔らかい、うっとりするような香り。
どう考えても、僕の大好きな葵咲ちゃん以外の何者でもない。ないのだけれど。
えっ? でも……ちょっと待って。何で葵咲ちゃんが空港に?
そう思った僕は、葵咲ちゃんの背後から2つの人影が近づいてくるのを認めて、思わず腕の中の葵咲ちゃんを抱く手に力を込めた。