僕惚れ④『でもね、嫌なの。わかってよ。』
 予めズボンに忍ばせておいたスキンを手に取ると、僕は葵咲(きさき)ちゃんの下腹部を愛撫しながら片手と口で中身を傷つけないよう慎重に開封する。

 葵咲ちゃんは恥ずかしそうに顔を背けているけれど、僕はちゃんと感じているよ?

 キミが僕の一挙手一投足をじっと見てるって。

 だってほら。
 僕がスキンの袋を咥えた瞬間、キミの中、待ちきれないみたいにキュンってうねったもの。

 指で葵咲ちゃんの中をかき回しながら、彼女が感じるところを、ノックするように、撫でるように、優しく刺激する。

「はぁ、ぁ……や、んっ。()(ひと)っ……」

 与えられる快感に戸惑ったのか、葵咲ちゃんが足をギュッと閉じて僕を押しのけようとするけれど、ごめんね?
 僕は身体ごとキミの間に入らせてもらってるから、逃げようとしても無駄なんだ。

 片手で素早くゴムを装着すると、僕は葵咲ちゃんに口付ける。

「葵咲、愛してる……」

 愛しい彼女の耳元へ熱い吐息とともに愛の言葉(ありったけの気持ち)を吹き込むと、葵咲ちゃんの中からそっと指を引き抜いた。

 途端、クチュッと微かな水音がして、トロリとあふれ出した蜜がシーツを濡らす。

 それをこれ以上溢れさせないように、僕は葵咲ちゃんの入り口に、固く張り詰めた屹立をあてがうんだ。

挿入()れるね」

 一応告げたけれど、もちろん答えを待つつもりはない。

「ぃ、あ……んっ、理人ぉ……っ」

 僕が彼女の中に腰を沈めると、葵咲ちゃんが顔を覆っていた手を放して、僕にギュッとしがみ付いてきた。

 葵咲ちゃんを揺らすたびに、彼女が僕から離れたくないみたいに背中に爪を立てるピリッとした痛みが、僕を余計に興奮させるんだ。
 でもキミはそんなこと、夢にも思ってないんだろうね?

 ねぇ葵咲、もっともっと僕に爪を立てて、僕はキミだけのものなんだって実感させてよ。


 大好きな彼女(ひと)とひとつになれるこの瞬間が、僕は堪らなく大好きだ。
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