【クリスマス短編②】想いを伝えるための聖なる夜

  
 そんなことを考えても仕方ないことは分かっているが、俺の心のモヤモヤは消えそうにない。

「ねえ、結城」

「なんだよ」

 俺はただ、萌衣が幸せになってくれれば、それだけでいい。 
 
「代わりに言ったらアレなんだけど、後で結城の好きなクレープ奢ってあげるから」 

 ……そう思っていた。

「……いや、いい」

「えっ、何でよ?」

 萌衣のそばにいていいのは、俺だけだ。 誰のものにもならないでほしい。
 そう思うことが俺にとっては、すごく苦しい。

「萌衣のその顔が見れただけで、俺は満足だから」

 萌衣のことを幸せにしたいと思っているのに、そこにいる遠い好きな男の存在が、俺のことを邪魔する。
 邪魔するな、そう言えたらどれだけ楽なんだろうって思うけど。

「え?どういう意味?」

「萌衣を太らせる作戦、ってことだけど?」

「はぁ!? ひどっ……!」

 こんなふくれっ面の顔も、俺にとっては可愛いとさえ思える。
 やっぱり萌衣のことが、好きだ。

「冗談だっつーの」

「何!?またそうやってからかうの!?」

 萌衣、お前は俺だけ見てろよ。……な?
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