【クリスマス短編②】想いを伝えるための聖なる夜


「まあ萌衣をからかうのが、俺の趣味みたいなものだからな」

「何それ。ひどいんですけど!」

 そう言いつつ、本当は萌衣に笑ってほしいだけだ。 萌衣を笑わせたい、ただそれだけ。

「……なあ、萌衣」

「何?」

「お前、好きな男がいるのか?」

 だけど気になるその答えを、どうしても聞きたくなる。

「えっ……何で?」

 そう聞いた瞬間の萌衣の表情は、ちょっと照れ臭そうにも見えた。

「最近よくニヤニヤしてるからさ」

「そ、そ、そんなことない!」

 すぐに否定するということは、やはりそうなんだなと、確信するしかなかった。

「で、萌衣が好きな男ってどんな男?」

「それは教えない!」

 ノリで教えてくれるかと思ったが、きっぱりと断られてしまった。  

「そいつ、俺よりもいい男な訳?」

「ゆ、結城には関係ないでしょ!」

 こうやって顔を赤くするということは、相当そいつのことを好きなんだ、と感じる。
 俺はこんなにも、萌衣のこと好きなのに。……この気持ちを抑えられる訳、ないのに。

「まあそいつにフラレたら、俺が慰めてやるよ」
 
 俺が、そばにいてやる。
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