【クリスマス短編②】想いを伝えるための聖なる夜
「よ、余計なお世話よ!」
そう言って出ていく萌衣の後ろ姿を見つめる俺の背中を、俺の親友である矢野勇吾【やのゆうご】がそっと叩く。
「全然気付いてもらえてないんだな、お前」
「……うるせえ」
とりあえず俺はアイツのそばにいられれば、それでいいんだ。
……今は、それでいい。
そしてクリスマス・イブの一週間前。
「萌衣、なんかご機嫌だな」
いつもよりも、萌衣が嬉しそうに見えた。
「クリスマス・イブの日、デートなんだ」
そして萌衣は、俺にそう告げるのだった。
「……そうなのか。良かったな」
とは言うものの、内心本当に複雑で……。
「クリスマス・イブの日、わたし告白することに決めたんだ」
「……そうか」
デートなんか行くな。告白なんてするな。……そう言えたら、楽なのに。
そう言えたら、俺はこんなに悩まなくていいのにな。
「結城。応援、してくれる?」
萌衣、なんでお前は疑うこともなく俺にそう聞いて来るんだよ。
俺はお前のことを好きなんだぞ?バカか……。
「応援なんてする訳ないだろ」
「えっ、何で?」