【クリスマス短編②】想いを伝えるための聖なる夜


 何でって……。本当にバカだな。

「まあ頑張れよ」

 俺は萌衣の頭をグシャッと撫で、そのまま昼休みに向かった。

「……はあ」

 どうして俺は、こんなにも悩ませられるんだ……。
 萌衣のことになると、余裕がなくなる。

「俺って結構、ダサいよな……」

 行くなよ、俺だけを見てろよ。なんて、男らしいことが言えたらいいのにな。
 そんな勇気、俺にはどこにもない。 臆病ってのは、こういうことを言うんだな。

「結城、大丈夫か」

 そんな俺を慰めてくれるのは、親友の矢野だ。
矢野は俺がずっと萌衣のことを好きだと知って、応援してくれているのだが……。

「矢野、俺はどうしたらいいんだろうな」

「香住の好きなヤツ、誰だろうな」

「……教えてくれないんだよ、アイツ」

 どうにかして振り向かせたいと、そう思っていた時期もある。
 だけど嫌われるのもイヤだと感じて見守ることにしたのだが、結局その想いは募っていくばかりだった。

「このままでいいのか、結城」

「……いいわけないだろ」

 そんなの、俺が一番分かっている。
 
「頑張れよ、結城」

「……ああ」
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