【クリスマス短編②】想いを伝えるための聖なる夜


 俺はやっぱり、萌衣のことが好きなんだ。誰にも渡したくない。

「……萌衣、ごめん」 

 俺、萌衣のこと誰にも渡さないから。絶対に、誰にも渡さない。



 そしてクリスマス・イブの日。俺は一人、街を歩いていた。
 萌衣にクリスマスプレゼントと一緒に、告白しようと決めたからだ。
 萌衣にこの気持ちをちゃんと伝えたい。本気でそう思った。

 そしてプレゼントを探して歩いていると、突然電話が鳴った。
 スマホの画面には【萌衣】と表示されていた。

「……萌衣?」

 どうしたんだ? 今日はデートだと言っていたよな?
 
「もしもし、萌衣?」

「結城……っ」

 電話越しの萌衣の声は、かすかに震えていた。

「萌衣、どうした?」

「わたし……わたしっ……」

「萌衣、お前今どこにいる? 俺今から、そっちに行くから」

 そう聞くと萌衣は、掠れた声で今いる場所を教えてくれた。
 俺は急いでタクシーに乗り、萌衣への元へと向かった。

「萌衣……!」

 たどり着いた場所に着くと、萌衣はそこに一人悲しそうに座っていた。

「結城……来てくれたの?」

「行くって言っただろ」
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