【クリスマス短編②】想いを伝えるための聖なる夜


 萌衣のその言葉を聞いて、俺はますます嫉妬した。
 萌衣にそんなに思われていることが羨ましくて、嫉妬するんだ。

「……ごめん、急に呼び出して」

「いや、それはべつにいいんだけどさ……」

 俺の方が、俺の方が萌衣のことをわかっているつもりだ。
 だからこそ、萌衣のことを抱きしめた。

「えっ……結城……?」

「萌衣、俺さ。お前に伝えたいことがあるんだ」

「伝えたい……こと?」

 萌衣の顔を見ると、萌衣は目は涙で赤くなっていた。
 だけどそんな萌衣の顔を見ているのが辛くて、俺は萌衣のことを守りたいと、そう思った。

「萌衣、俺にしろよ」

「……え?」

「そんなクズ男のことなんて、俺が忘れさせてやる」

 俺がそう伝えると萌衣は、俺から目を逸らして俯いた。

「結城、わたし……」

 萌衣の言葉を遮るように、俺は「俺さ、好きなんだよお前のこと」と告げた。

「……え」

 困ったような顔をする萌衣に、俺は「俺はずっとずっと、お前のこと好きだった」と、再びそう告げた。

「……ごめん、全然気付いてなかった」

「本当に、お前は鈍感だな」

「ごめん……」
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