わたしたちはどこまでも 未熟だった
出会い
あなた
.
名古屋での生活が落ち着き始めた頃。
わたしは沖縄に帰省した。
学生時代の友人、アツシとその友人たちで
お酒を酌み交わしていた。
アツシは高校生の頃からの付き合いで
色んな恋愛話も、将来のことも
胸の内も全部話してきた仲だ。
友達以上はありえない。同志だ。
アツシの友人たちとは初対面だったけど
うまく馴染めて話も盛り上がり
アルコールはわたしの身体の隅々まで
浸透し、普段ド真面目なわたしは
酔っ払っておちゃらけていた。
2軒目、3軒目と移動するにつれて
人数も減っていき、
残ったのはアツシとわたしとユウジだった。
そして向かった先は
MIX BAR。
セクシャルマイノリティが集う BARだった。
エレベーターに乗り
4階で降りたわたしたちは
どっしりとした重たい扉を開けた。
その時、目の前に
1人の女の子が立っていた。
わたしたちと同じ年ぐらいだろうか。
彼女は急に開いた扉に状況が
読めなかったのか
目を丸くしてこちらをみていた。
『いらっしゃいませ〜』
奥のカウンターから
オネエ特有の声の響きが聞こえてくる。
覗き込むと見た目は…
女装してる感じはなく
スポーツ刈りにメガネ。
TシャツにGパンの
外見には気を遣ってなさそうな
40代の中年のおじさんだった。
目の前にいた彼女に
席に案内されてソファに座るわたしたち。
彼女はおしぼりやらコースターを
準備してドリンクを聞いた後、
カウンターに戻っていく。
誰かに連れてってもらわない限り
普通のBARにすら行かないわたしは
少し戸惑いつつ、でも酔っ払って変な気持ちだった。
ドリンクを持って
コースターに置いたあと
彼女はわたしたちの間に座った。
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