敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
空港内を全力疾走!?
「うわ、間に合う?」


私、逢坂成海(おうさかなるみ)は空の玄関、東京国際空港――通称羽田空港第三ターミナルの中を全速力で駆け抜けていた。

大手『FJA航空』の子会社『FJAスカイサービス』でグランドスタッフとして働き始めて一年半。

二十四歳になったばかりの私はまだまだ下っ端で、こうして駆けずり回っていることが多い。


 今日は八時十五分発のソウル便の搭乗ゲートで、ばっちり笑顔を作って搭乗手続きを進めていた。

しかし、八時少し前にゲートに姿を現した初老の夫婦の奥さまが真っ青な顔をしていたため近づいて声をかけた。

この夫婦は、先ほど私がチェックインカウンターでの手続きを担当した。

仕事の都合でソウルに在住している息子さん夫婦に会いに行くと楽しそうに話していたのに、パスポートの入ったバッグを免税店の前のベンチに忘れてきてしまったと言う。
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