敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる～一生、お前を離さない～

ひたすら覚えるしかない。


私がそれを聞いたのは、グランドスタッフ業務についた初日。

座席番号二十二にジョージさんが予約しているということだと思ったのだがまったく違い、〝ＦＪ２０５便、未搭乗者は一名です。座席番号二十二のＧの方です〟という意味で、ジョージは人名ではなくアルファベットのＧを指すのだと知った。

聞き間違いを防ぐためフォネティックコードというものがあり、Ａはアルファ、Ｂはブラボーと読むのだけれど、ブラボーなんて言われたら、褒められていると思うよ、普通。

ちなみに国際線ではＡをエイブルと読むエイブルベーカーを使うこともあるため、新人はまずこれを覚えないと仕事にならない。


今日の最初の仕事は、チケットを発券したり搭乗手続きしたりするチェックインカウンター業務だ。

担当するのはシンガポール便。

総座席数三百六十九席のエアバスＡ３５０－９００が飛ぶ。