敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
ゲートコントローラーが日本語に続けて、流暢な英語で案内をする。

そうすると大量の搭乗者が列をなすため、改めてチケットとパスポートの確認をしながら機内へと導いていく。


先ほど荷物でごねた男性の姿が見えて逃げ出したい気持ちになったものの、口角は上げたまま。

乗客の前で暗い顔はできない。

またFJA航空を使いたいと思ってもらえるようにしなければ。


「パスポートを拝見します」


男性の番になり緊張が走る。


「またチェックかよ」


ぼそりとつぶやかれて肝が冷えたが、素直に見せてくれたので助かった。


「行ってらっしゃいませ」


ゲートではもめることなく、ひと安心だ。

この便では幸い遅れてくる乗客はおらず、定刻通りに飛行機を送り出すことができた。


「お疲れさま」
「お疲れさまでした」


てきぱきと後片づけをしてグランドスタッフ同士で挨拶をする。


「逢坂さん」
「はい」


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