敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
「逢坂さんさ、グランドスタッフやキャビンアテンダントを狙ってる輩も多いから、そんなに簡単に名前を教えるものじゃないぞ」


あなたが聞いたんでしょ?


「整備士さんだって言うから……」
「嘘かもしれないだろ?」


その通りだけれど、私はなにを試されているの?


「という忠告は置いておいて、俺は月島一輝(つきしまかずき)。逢坂さん、明日も早番?」

「いえ。明日は遅番です」

「そっか。昼飯食った? 俺、食い損ねたんだよね。付き合わない?」


名前を簡単に教えるなと言っているくせして、誘っているの?

忙しくて菓子パンをかじっただけだったので、食べに行きたいのはやまやまだ。

けれども答えずに警戒の眼差しを送ると、彼はクスクス笑う。


「学習したらしいね。嫌ならいいけど。B777の話もできるかなと思った――」
「行きます!」


あぁ、私って単純。

でも、飛行機の話ができる時間が一番楽しいのだ。

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