敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
グランドスタッフ仲間は飛行機よりパイロットに興味がある人が多くて、マニアックな会話に付き合ってくれる人はほとんどいない。


「よし、決まり。タクシーで行くか」
「えっ……」


早朝や深夜で電車が動いておらず会社から交通費を出してもらえるとき以外は電車なのに、少し強引にタクシーに乗せられた。


「俺の知ってる店でいい?」
「……はい」


タクシーに乗っておいてなんだけど、やっぱりちょっと警戒する。

彼が運転手に行き先を指示した様子をいぶかしげに見ていた。


「無理やり食ったりしないから心配するな」
「く、食ったり?」


とんでもない発言に声が裏返る。


「あぁ、逢坂さんの分まで食べないってこと。逢坂さんは違うこと想像してたみたいだけど」


にやりと笑われて顔から火を噴きそうだ。


「まあ、持ち帰りたくなったら持ち帰るかもしれないけど」
「は?」
「土産の話ね」


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