敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
「なるほど。俺が誘ったからおごるぞ。嫌いなものは?」


おごってくれるの?


「ありません」
「了解。飲める?」
「少しは」


彼は私に確認したあとウエイターを呼び、慣れた様子で注文を済ませた。

私はその間、またしてもウエイターに釘づけ。
歩き方から注文の取り方、言葉遣い、すべてが参考になる。


「あのさ」
「はい」


去っていくウエイターを目で追っていると、月島さんに話しかけられて生返事をした。


「連れてきたの俺なんだけど、あの人と飯食いたい感じ?」

「ち、違いますよ。振る舞いが参考になるなと思って」


とんでもない誤解をされて慌てて否定する。

すると彼は、少し驚いたような顔をした。


「異業種の人も参考にするのか」

「そうですね。なんでも勉強だと思ってます」

「すごいね、逢坂さん。思った通りの人だった」


思った通りとは?


「すごくはないです。できてないので」
< 28 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop