敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる～一生、お前を離さない～

二度目はチェックインカウンターで。

ほとんど手続きが終わった頃、とあるグランドスタッフが乗客となにやらもめていた。

そのとき、ほかの仲間は知らないふりをして片づけをしているのに、彼女だけはすぐに近寄っていって会話に加わった。

どうも日本語も英語も通じなかったらしく、彼女は大きな身振り手振りで意思の疎通を図っている様子だった。

さらには紙に絵を描いて説明していたようで、俺の横を通り過ぎたグランドスタッフが「あの棒人間でわかるのかしら。満席でゴーショーなんて、手でバツを作っておけば済むじゃない」と話しているのが聞こえてきた。

ゴーショー、つまりあの乗客は予約なしで空港に来て搭乗しようとしていたのだ。

その場合、空席があったりキャンセルが出たりすれば搭乗可能だが、カウンターを閉めた時点で満席ならば難しい。

その場合は、〝乗れません〟のひと言で断り、カウンターを閉めるのが普通だ。