敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる～一生、お前を離さない～

ただ、付き合い始めたとしても、その後はアメリカやドイツでの厳しい訓練が待っていて連絡を取れなくなるため、自然消滅することが多いようだが。


「逢坂さんも？」

「私は断然整備士さんなんです。あの巨大な鉄の塊を空に飛ばすなんてロマンがあるでしょ。それに複雑なエンジンの故障を直しちゃうんですよ。乗客や乗員の命を背負いながらプロの仕事をする整備士さんは、本当にかっこいい」


俺が整備士だと言ったから、気を使っているのだろうか。


「だけど、彼氏にするならパイロットだろ？」

「いいえ。手を油まみれにして黙々と働いている整備士さんがかっこいいんですよ。……あっ、一般論です」


俺を整備士だと思っている彼女は、急に頬を赤くして一般論だと付け足す。


「なるほどね。俺は圏外だと念を押してるわけか」

「ち、違いますよ。なんだか告白したみたいだったから」