敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
「いえっ、すごく楽しかったです。マニアックな話ができる人はなかなかいないんで」


そうだろうな。
パイロットの話で盛り上がることはあれど、翼の構造なんて普通は話さない。


「それじゃ、決まりな。連絡先教えて」


俺がスマホを手にすると、彼女はなんのためらいもなくバッグから出している。


「メッセージのIDと電話番号教えて」
「はい」


連絡先を求めておいてなんだが、素直すぎて男にだまされるタイプかもしれないと心配になった。

連絡帳にそれらを登録してから口を開く。


「ほかの男に連絡先を聞かれても簡単に教えるなよ」
「あ……」


指摘すると、彼女は顔を引きつらせている。


「そう、ですよね。さっきの消して――」
「無理」


却下に決まってるだろ。


「心配するな。俺は悪い男じゃないと、思う」

「思うってなんですか。断定してください」


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