敏腕パイロットとの偽装結婚はあきれるほど甘くて癖になる~一生、お前を離さない~
ムキになって突っかかってくるのがおかしい。


「さて、今日は帰るか」


彼女の意見はサラッと無視して立ち上がった。

本当はもう少し話をしたいが、彼女は明日も仕事があるようだし、無理はさせられない。

店を出て再びタクシーを捕まえたのに、乗ろうとしない。


「どうした?」

「私は電車で――」

「いいから、乗れ。食わないって言ってるだろ。送っていく」


余計なことを言ったせいで再びガードが固くなっている。

でも、くだらない男に引っかかるよりこれでいい。

少し強引に乗せると、彼女は渋々住所を口にした。


「遠いな」


推測するに、通勤に一時間近くはかかるはずだ。


「はい。学生のときに住んでいた部屋をそのまま借りているんです。空港の近くに引っ越そうと思ったんですけど、寮も満室でしたし、引っ越し費用もバカにならなくて」

「そうか」


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