名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「朝倉先生も私たちにとって特別な存在です」

 私の言葉に、朝倉先生はフイッと顔を逸らす。
 また、何かやってしまったのではないかと不安になった。
 すると、朝倉先生の耳が赤く染っていた。

 もしかして、朝倉先生照れているの?

 そう思うと、ドキドキと心拍数が早くなる。

「名前……。朝倉先生では無く違う呼び方で、呼んで欲しい」

「えっ? 名前?」

「そう、名前」

 朝倉先生の名前。『朝倉翔也』をなんて呼べば良いのだろう。

「翔也……先生」

 慣れない呼び方で、呼ぶのはどこか恥ずかしく、顔が火照っているのがわかる。
「はい。……夏希さん」

 ひゃあ、朝倉先生に名前で呼ばれた。

 朝倉先生にとって、私はただの仕事相手と思っていたのに" 特別 "と言ってもらえたり、名前で呼ばれたり、これは勘違いじゃなくて自惚れててもいいのかな。
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