名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
苦々しく思いながらタップをして電話に出る。
「夏希、今、平気?」
と明るい将嗣の声が聞こえた。
「将嗣。なんで、人の仕事相手に余計な自己紹介してんのよ!」
開口一番、苦情を言う。
「アイツ、俺たちの間に入って来て、夏希のナイト気取りで、夏希に気があるのバレバレだって、だからライバルとして牽制しておいた」
「はあ? ライバル?」
「夏希とやり直したい俺と、夏希に気のあるアイツ、これをライバルと言わず何というか!」
意気揚々と語る将嗣にイラッとした。
「私の仕事が無くなる危険性とか考えないの?」
「俺と結婚して、夏希と美優ちゃんを養うから大丈夫!」
「…………うざっ」
プチッ ツーツーツー
通話を切ってやったわ!! ふん!