名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 考えこんでいる私に将嗣は真剣な面差しを向ける。

「なあ、この間のヤツ仕事相手だって言っていたけど、それだけじゃないんだろう?」
 唐突にそんなことを言われて、またむせた。
 ゴホッ、ゴホッ、

「なにやっているんだよ。大丈夫か?」

 くっそー、将嗣は、こういうの聡いんだ。自分の事は、ダメダメな癖に!
 そして、何かを察したような視線を送り、話しを始めた。
 
「なあ、弁護士さん頼んで正式な形で、美優ちゃんの事を認知したいと思っている。それで、うちの両親にも美優ちゃんを合わせてあげたい」
 
「えっ? ご両親に?」
 考えもしていなかった話に驚きを隠せなかった。

「だって、両親からしてみたら孫に当たるわけだし、会いたいと思うんだよね」

 言われてみれば、もっともな話。自分の両親は、既に他界していたので気が付かなかった。

「で、さぁ。俺の田舎、福島なんだけど2泊3日ぐらいで行かないか?」

「行かない!」
 なんで、元カレと2泊3日も……冗談じゃない。
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