名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
生後半年になったとはいえ、赤ちゃんはちょいちょい泣く。おむつ替え、ミルクも頻繫だ。離乳食も始まる。ハイハイの時期でもあり片時も目が離せない。連続した睡眠が取れないからいつも寝不足だし、その合間を縫っての作画作業はつらい。
もちろん、プロとしてお金を貰う以上、仕事はキッチリ、プライベートと分ける。

 でもね、でもね、大変なのもわかって欲しい。ケド、言えない。子供を言い訳に仕事がはかどらないなんて意地でも嫌だ。気合で頑張る。

 気合と意地で必死で直した。レイヤーの数は過去最高になるだろう。
 そして、提出。
 祈るような気持ちで送信ボタンをポチっと押した。
 どうせ、また、リテイクが、入るだろうけど自分の出来る所は頑張った。

 

そして、担当編集から連絡が入った。
 メールが到着したと思ったらほぼ同時に携帯電話が鳴りだして、アタフタと携帯電話を手に取り、今度は何を言われるのだろうとビクビクしながら電話に出た。
< 12 / 274 >

この作品をシェア

pagetop