名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~

 扉が開き、朝倉先生の背中越しの人影から声が聞こえた。
「翔也、人の事追い返そうだなんて、100年早いわ!」

 開口一番、朝倉先生のお姉さんが発した言葉に思わず吹き出してしまう。
 ザ・パーフェクトの朝倉先生もお姉さんに掛かれば赤子同然の扱いで、なんだか、ツボに入ってしまったのだ。
 ククッっと、笑いをこらえているとリビングに朝倉先生とお姉さん、そして、二十歳ぐらいの女の子が入ってきた。

 その二人を朝倉先生が紹介をしてくれる。
「姉さん、こちらは結婚を前提としてお付き合いしている谷野夏希さんとそのお嬢さんの美優ちゃん。谷野さん、私の一番上の姉、由佳と姪の真由美、真由美はmayuyuと言った方がわかるかな?」

 すると、真由美さんことmayuyuが声を上げた。
「キャー! 夏希さん、会ってみたかったんだ。イラストありがとうございました。夏希さんのイラストに変えてから読者さんが増えてランキングも一気に上位になったんですよ」

「はじめまして、由佳さん。真由美さんもありがとうございます。こちらこそ、mayuyuさんがご依頼くださったご縁で朝倉先生からお仕事を頂いたんですよ」

「私、キューピット!」

「真由美、まだ挨拶も終わっていないうちからはしゃぎ過ぎよ」
由佳さんが真由美さんを窘めた。

「こちらこそよろしくね。5分ぐらい翔也をお借りするけどいいかしら?」
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