名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「お疲れ様です。谷野さん、頑張ったね。朝倉先生からOKが出たよ。打ち上げには来て下さいね。メールで詳細送っているからよろしく!」

「ありがとうございます!」
 電話を持ったまま見えない担当編集に向かって何度も頭を下げた。
 心血を注いだイラストがやっと認められたのだ。
 この喜びをどうしよう。

「美優ちゃん、ママは、すっごく頑張りました。美優ちゃんもお利口さんで頑張ったものね。大好きですよー!」

 娘はキャッキャッと笑った。母親がご機嫌さんだと娘もご機嫌さんなのである。娘の笑顔を見ているだけでお母さんは幸せになれるのだ。
 シングルマザーになって、大変なことも多いけれど幸せな事がその分増えた。この先、色々な問題が出て来るだろうけど、娘のためにも乗り越えていこう。その力も娘がいればこそだ。

「美優ちゃん、ママこれからも頑張るよ!美優ちゃんも応援して、お願いよ。先ずは、今度の打ち上げお留守番していてね」

 子守を頼むため、いとこにメールを打った。
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