名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
それから数日後。
 ピンポーン!

 ドアを開けると近所に住むいとこの紗月が立っていた。今日の打ち上げのため、娘・美優の子守をお願いしてあるからだ。

「夏希ちゃん、まだ、そんな恰好しているの?たまに出かけるんだからちゃんとおめかししないとダメじゃない」

 まだ部屋着のままで、上下スエットに頭ボサボサのノーメイクのままの私。

「いや~、美優がグズッて大変だったのよ」

「言い訳は、いいから早く支度をする。ただでさえ夏希ちゃん、女サボっているんだから戻りが甘くなっているんだよ!」

 姉妹のように育った紗月は、気の置けない仲だ。そして、その分容赦がない。

「なに? 戻りが甘いって?」

「化粧した後の女の完成度が低いってことだよ!」

 くはーっ! キツっ! 刺さった!

「ヤバイ、これから出かけるのにHPが、減った」

「女は、どんなに疲れててもキッチリ化粧すれば誤魔化せるの。ほら、バカな事を言っていないで早くしな」
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