名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
 不安をくみ取ってくれて、優しい言葉をくれる朝倉先生。

「翔也さん、優し過ぎます」

「じゃあ、次回の表紙の依頼は厳しく行こうかな?」

「えー、そ、それは……」

 二人で顔を見合わせて笑うと、美優もつられて笑っていた。
 窓から差し込む日差しのように温かな空気に包まれている。
 
 
 つかまり立ちが出来るようになった美優はいたずらを探しては、ハイハイとつかまり立ちを駆使して移動している。朝倉先生と私の間を行ったり来たり「スゴイ、スゴイ」と声を掛けられ得意げな表情を見せていた。

 すると、つかまり立ちをしていた美優が両手を放し、朝倉先生に向かって、一歩二歩と歩みを進めた。
 グラッとよろけて朝倉先生が美優を支える。
「すごい! 一人で歩いた!」
 美優が初めて一人で歩いた瞬間に思わず声を上げた。
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