名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~



  朝、カーテンの隙間から差し込む日差しで目覚めた。
 こんなに熟睡したのは、どのくらい前だったか……。
 少なくとも子供が産まれてからはこんなにしっかりと睡眠時間を確保した事はなかった。
 ベッドの上でモゾモゾと隣にいるはずの朝倉先生を探したけど、そこに居なくて少し寂しく思う。
 寝呆けた目を擦りながら起き上がる。すると、リビングルームから美優のはしゃぐ声が聞こえてくる。
「あっ、美優を見なくちゃ」
 慌てて飛び起き、リビングルームに入る。朝倉先生が美優に朝ごはんを食べさせている最中で、野菜のリゾットを美味しそうに頬張る美優の姿があった。

「おはようございます。美優に朝ごはんまで食べさせて頂いて、すみません」

 朝寝坊して子供の世話までしてもらって、有り難いやら情けないやら……。

「おはよう。よく眠れた?」

「ありがとうございます。こんなにぐっすり眠れたの久しぶりで、すっかり甘えてしまって……」

「甘えてくれた方が嬉しいよ」
 と朝倉先生が微笑んだ。

 朝からイケメンが眩しい。
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