名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
そそくさと鏡の前から移動して浴室に入った。体を洗いバスタブのお湯に浸かる。広めのバスタブで手足を思いっきり伸ばした。
「あ゛──っ、気持ちいい!」
思わず口に出してしまった。でも、それぐらいゆったりとお風呂に浸かるなんて久しぶりの事だった。
バスタブから上がって体を洗うとお腹にあるキスマークが目に入った。
こんなところにまでキスマークを付けられるなんて……と恥ずかしくなったが、これは、もしや、私の腹肉がポヨポヨしているからなのか?
一度膨らませた風船の空気を抜いても元の姿に戻らないように私のお腹も妊娠前と比べたらポヨポヨのタルタル。
こんな姿を朝倉先生に晒してしまったかと思うとさっきまでの恥ずかしさとは、違った恥ずかしさが湧いてきた。
カランを上げてシャワーを浴びシャンプーを借りて頭を洗った。
シャワーから出てくるお湯も繊細でマッサージされているようで気持ちいい。
サッパリとして、お風呂場から脱衣室に行くと裸の体が鏡に映った。
以前と比べて丸みを帯びたシルエット、紗月に言われた通り、女をサボっていたなぁ、と反省。
子供の事ばかりでなく自分にも少し気を回さないとダメだな。
子供だって綺麗なママの方が嬉しいだろう。
バスタオルで体を拭きながらそんなことを思った。