名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
「だ、大丈夫です」
そう、思い出すと赤面するほど、あっちこっちにキスマークがつくぐらい情熱的だった。朝起きた時は、体がミシミシしている気がした。
でも、お風呂に入ってきたので体は楽になった。
体の事を気遣ってくれる優しさは、素直にうれしかったけど、面と向かって聞かれるのは、なんとも恥ずかしい……。
少し、イヤらしい事を考えてしまったのを
えへへ、と笑ってごまかした。
朝食が終わった後も三人でのんびり窓からの日差しを浴びて日向ぼっこをしながら、美優のお転婆に目を細めている朝倉先生を見ていると、まるで本当の親子のようだなと思った。
実際のところ、人との関係は血縁よりも一緒にいる時間や愛情の掛け方で関係が深まっていくと思う。結局、血が繋がっていようがいまいが子供には愛情を掛けて良い親子関係を築きましょうという事なんだと思う。
「どうしたの」
朝倉先生をボーっと眺めていたら声を掛けられ、私はずっと見つめていた事がバレてしまったようで気恥ずしくって、「なんでもないよ」と首を横に振り視線を逸らした。
すると、朝倉先生が手を伸ばし、だんだんと私の頭に手が近づいて、頭を撫でられるのかな? と、思っていたら……
パシッ!
「いったぁぁ」
ナニ? なにが起きたの??
私は突然デコピンを喰らい、おでこを抑え、涙目になりながら朝倉先生を見た。
「言いたい言葉を飲み込まずに伝え合う事、それが出来ない悪い子にはお仕置きしないとね」
と、いたずらっぽく笑う。
「もう、痛かったんだから」
涙目で頬を膨らませ怒っていると朝倉先生は私をそっと抱き寄せ、そっと囁く。
「じゃあ、隠し事は無しだよ」
「さっきのは、幸せだなって思いながら翔也さんを見ていたから恥ずかしかったんです」
「ごめん、ごめん」
おでこにチュッとキスをされた。
うひゃー。その攻撃は反則です。