名無しのヒーロー ~シングルマザーは先生に溺愛されました~
メニューを見ると醤油ラーメンが中心でそれにトッピングがアレコレあるようだ。一番のオススメメニュー、ねぎチャーシューを注文した。
お待たせしました。と湯気の立ち上ったラーメンどんぶりが目の前に置かれた。めんが覆い隠されるほど煮チャーシューが乗っている。トッピングされたネギからもまぶされたゴマ油の香りが食欲を増す。
「すっごーい!」
「美味しそう」
二人で歓喜の声を上げチャーシューを頬張るとフワッと柔らく程よい塩気がある。チャーシューの下から現れたスープは澄んでいてあっさり味。モチモチの太ちぢれ麵に程よくからむ。
「ナニコレ、美味しい」
「うん、食べやすい。鶏だしであっさりなのにしっかりしている」
夢中になって頬張りながら将嗣の事が気にかっかった。
運転して疲れているのに気を使わせてしまって悪いなって……。早く食べて美優の子守を交代して将嗣にもご飯を食べてもらわないと、最近の将嗣は気を使い過ぎるぐらい気を使ってくれているのがわかる。それに対して私は返せるものが何もない。
お会計をすまし、将嗣に電話を掛けるとラーメン屋の角を曲がった5軒目のパン屋さんにいると言うので紗月と向かう。
街並みに合わせた木造に瓦屋根白いぬり壁に開口部が茶色の淵のガラス張りのパン屋さんが見えてきた。